読むナビDJ :第65回:ファンコット10選!インドネシア発、カオス高速大衆ダンスミュージック!

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第65回:ファンコット10選!インドネシア発、カオス高速大衆ダンスミュージック!

今回は長~い曲がありますよ!TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」界隈、hy4_4yhや9niineのシングルでも話題のダンスビートをDJ JET BARON a.k.a 高野政所氏とshisotex氏のテキスト含め強力プッシュ!!

この記事の筆者

音楽編集者見習いを経て、レコード屋店員からのヴィレッジヴァンガード下北沢店スタッフ。最近渋谷の真ん中のフリースペース「ソラハウス」の館長に就任。あとたまに色々なCDを作ってます。

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すべての音をかっぱらえ だけど停電だけが恐ろしい! 電気グルーヴ「電気ビリビリ」

90年代レイヴカルチャーの理想は、それは素晴らしいものだった。言葉が通じなくても、お金がなくても、オシャレじゃなくても、ダンスがヘタクソでも、そんなのは関係なく誰にでも開かれていて、音楽で踊る事でひとつになれる…。今はそれが単に理想論だったし実際そうなのだけど、ある音楽の登場で、もしかしたらその理想が形になるのではないかと思わせてくれるダンスミュージックに出会った。

それがインドネシア発の高速ダンスミュージック「ファンコット」だ。そしてそのファンコットの波が今、国内のクリエイターの献身的な、熱の入った活動により、日本にも静かに、熱く広がりつつある。

一部の人たちの美意識を満足させるような「引き算の美学」ではなく、楽しく踊れるのならあらゆるジャンル、エッセンスをアジア的おおらかさでもって貪欲に丸呑みする、誰もが楽しめる「足し算の快楽」による満腹感。サブカルチャー的視点でも、もっとベタな視点でも分かるオモシロ感と、老若男女問わず問答無用にもっていくアゲ感。高速ビートとその半分のグルーヴ感が同居する、どちらもオーケーなおもてなし感(ドラムンベースよりビートがカッチリしているのでノリやすい)。「聴く」のではなくまずは「効く」音楽。レイヴカルチャーが夢想した「オープンマインド」が、ファンコットの登場によって、初めて日本で形になるのかもしれない。「セレブ」な人達のファッションアイテムや、あるいはハイセンスなナード達の武器になることもなく、そんな人達も全員ひっくるめつつ、そこやあそこやここにいる、ごく普通の人達が単なる「踊るアホウ」になる為だけの音楽。洋の東西のレイヴ(祭り)文化がガッチリ手を組んだ音楽。なにをどう取り入れても、断固として「ダンスミュージック」に軸足を置いた音楽。素晴らしい。

……という能書き無しでも楽しめるのがファンコットの良い所でもあるので、この辺で「今から聴く人の為のファンコットはじめの一歩10選」を、日本におけるファンコットの伝道師第一人者であるDJ JET BARON a.k.a 高野政所氏と、その片腕的存在でもあるshisotex氏のご協力によって選曲してみました。

DJ SOLOIST「SCHOOL OF FUNKOT 2012」

DJ SOLOIST(DUGEM BAYANGAN)によるFUNKOT初心者向けに色々な基礎知識が詰まっている詳細な解説付きNON STOP MIX。(Text by DJ JET BARON)

※下記URLより音声ファイル、解説のテキストをダウンロード可能 http://funkotjp.blogspot.jp/2012/07/dj-kiss-aka-soloist-school-of-funkot.html

Various Artists「House Music Dugem Nonstop Mandarin Funkot Memories」

FUNKOTの中のジャンルの一つである「中華歌謡モノ」、通称マンダリンのMIX
ゆったりしたボーカルとオリエンタルで流麗な叙情性あふれるメロディが特徴。
これでアガれるようになれば中級者。(Text by DJ JET BARON)

Various Artists「Nonstop Dangdut Remix 2012」

FUNKOTの源流のひとつであるDANGDUT (ダンドゥット)のFUNKOT REMIXのみで作られたMIX。現場で一曲目「BUNGA」が合唱できるようになるとどこに出しても恥ずかしくない立派な上級FUNKOTER。(Text by DJ JET BARON)

Fmaster DJ YAMA「Genchi-genba-MIX-2002-12 full ver Fmaster DJ YAMA-Mix」

日本人の中ではFunkot歴10年以上の最ベテランDJ、Fmaster DJ YAMA師による記録が残っている最古のMIX。現在インドネシア本国で流通しているモダンスタイルのFunkotとは様相が全く違うFunkotのクラシックが聴けます。BPM帯も非常に遅く、構成されているベースやドラムス、シンセサイザーの性質も驚くほど異なります。(Text by shisotex)

Ronny(a.k.a.Grooveagent ) & Andy(a.k.a. Ndeejay)「This Is HardFunk! 2k11」

クラブミュージックとして先鋭化させたダンサブルなインストゥルメンタルFunkot、通称「HardFunk」のDJ MIX。その名の通りハードでストイックなこのトラック製作手法は、Funkotの進化と共に洗練されてきました。このDJ MIXに含まれるトラックを製作したのは現地インドネシアのトップDJ、Cyber DJ TeamRonny(a.k.a.Grooveagent )とAndy(a.k.a. Ndeejay)。(Text by shisotex)

BLVCK DJ - Hajjar Lage Boss. 「DUGEM HOUSE MUSIC 1Hr Nonstop 2012 - Funkot Is Back 」

インドネシア歌謡・ポップスのリミックスのみで構成されたDJ MIX。
原曲はメロウなバラードが殆どです。なんでも食えるとされているFunkotですが、リミックスワークとして最も親和性が高いのがバラード系楽曲と言えましょう。(Text by shisotex)

DJ JET BARON「FUNKOT ANTHEM feat.H.B

DJ JET BARON a.k.a 高野政所氏による、純正国産ファンコットのオリジナルチューンとしては、おそらく初の楽曲。ファンコットのフォーマットを崩す事無く、日本向けにトーンを調整してを仕上げるあたり、スタッフと高野氏の「わかってる感」が伝わり素晴らしい。リリックに高野氏のファンコットに対する熱い想いが込められているのも最高に熱い。いやYAVAY!!。

DJ JET BARON「Summer RIsing feat. Hibikilla and hy4_4yh

レゲエとアイドルが仲良くファンコットに丸ごと飲み込まれたサマー・チューン。「FUNKOT ANTHEM feat.H.B」よりも更に一般の人に「伝えるあるいは理解してもらう」事が主眼に置かれている。勿論こちらもファンコットのマナーを踏み外していない。このバランス感覚が素晴らしい。ちなみにこちらはこの表題曲を含めた4曲入りe.p.なのだが(うち1曲は「FUNKOT ANTHEM feat.H.B」のリミックス)、他2曲のオリジナル楽曲がとんでもない。今回の選曲にご協力頂いた、高野政所組若頭であるshisotex氏による「Soran Super Sound System 2013 DB」本気でディプロに聴かせたい、超絶グローカルビーツ的ファンコットの逸品。そしてもう1曲のJOCKIE "MASTABASS" SUAMA「Gunkan March」は、あの誰もが知っている「軍艦マーチ」のファンコットバージョン。まるでファットボーイ・スリムの「ロッカフェラー・スカンク」みたいだ!

DJ JET BARON 『最強神速J-MIX ~FUNKOT EDITION~』

ファンコットは現地インドネシアでも現地のポップスなどのカバーものが多数作られており、これもその意味で正当的なファンコットのアルバム。理屈抜きで誰もが楽しめるという意味では今回紹介したなかでも「ティッケー大作戦」と1、2を争う。国内のファンコットクリエイターがアレンジを提供しているので、国産ファンコットのショウケースとして聴いてみるのもいい。

hy4_4yh「ティッケー大作戦」

プロディジーキースアンダーワールドカール・ハイドハピマンベズが集まってしまったような、しかも3人とも可愛いアイドルで、しかもしかも歌えて踊れて笑いも取れる、ある意味アイドルの枠組みを大きく外れた「存在自体が飛び道具(BY ライムスター宇多丸氏)」。ファンコットをそれほどローカライズする事無く、難なく乗りこなしてしまった驚異的なスキルの高さも特筆もの。しかもこれをライブでは、ノンストップ(全曲ファンコット)で完全生歌で踊るもんだから本当にとんでもない。とにかく彼女達のライブは必見。すこしでも興味を持ったら是非現場へ! ちなみにこれ以前に9nine「イーアル!キョンシー feat.好好キョンシーガール」や、リミックスではあるがSaori@destiny「Lonely Lonely Lonely(FUNKOT.JP remix)REMIXED BY DJ JET BARON aka 高野政所」などファンコットとアイドルが手を組んだ事例はあり、どれも良いのだが、先ほども書いたように、ファンコットを「乗りこなした」という意味ではhy4_4yhが圧倒的。

■高野政所 (a.k.a. DJ JET BARON)氏について

インドネシア発祥の高速レイヴミュージック「FUNKOT」の伝道者。テクノ/ナードコア・バンドのレオパルドンの高野政所として活動する傍ら、以前からアジア音楽に興味を持ち、2009年5月に偶然インターネット上で発見したHOUSE DANGDUTから調査・研究を開始。
その流れでインドネシアだけで流行する謎のダンスミュージック「FUNKOT」を発見。その常識知らずの破壊的な威力に圧倒され啓蒙活動を開始すると反響を呼び、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」に出演。4度にわたる特集が行われ話題となる。
2009年末から2010年初めにバリ島へ渡り、現地のシーンを視察。轟音での本場FUNKOT体験に衝撃を受け、このアジア発のダンスミュージックを日本でも普及すべく現地で学んだDJ MIXや作曲法を元に、DJ/トラック制作活動を行う。
2010年末にはFUNKOT発祥の地、ジャカルタのゲットー、コタ地区を探訪し、トップDJ達との交流を通じて信頼を得ることに成功。このアジア最強のゲットー・ミュージックの真髄と精神を日本にも広めることを約束する。
ついに2010年12月には「ファイナルメディア」ことDOMMUNEに出演。延べ42,000人が視聴するなど、未だ拡大の一途を辿っている。またファンコットのDJ TEAMであるDUGEM RISINGを率いており、オーナーでもあるクラブACID PANDA CAFÉにて毎月パーティーも行っている。
またLOUD誌の日本の人気DJ投票で、30位にランクインしており、今最も注目すべきDJの一人でもある。

■告知

「ナカなのにソト、ソトなのにナカ」
東京・渋谷の真ん中に、渋谷らしからぬフリースペースを作りました。

ソラハウス
http://sorahouse.net

■この筆者「金田謙太郎」のコラム

コラムスピン 第61回:いつの間にリスナーは「アイドルソング」を聴かなくなった?のか。

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