読むナビDJ :第79回:知っていると自慢できるアントニオ・カルロス・ジョビンの10曲

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第79回:知っていると自慢できるアントニオ・カルロス・ジョビンの10曲

8月8日公開の「誰もが知ってるアントニオ・カルロス・ジョビンの超名曲10選」に続き、応用(深堀り)編としてこちらもどうぞ!

この記事の筆者

音楽&旅ライター。レコード会社勤務の傍らDJ、執筆、「喫茶ロック」企画などで活動。退社後、2年間に渡って中南米を放浪し祭りと音楽を堪能。帰国後は「ラティーナ」誌でのアルゼンチン音楽連載をはじめ、ラテン、ワールドミュージック、和モノから、旅行記や世界遺産にいたるまで幅広いジャンルで、雑誌、ウェブ、ライナーノーツの執筆、ラジオや機内放送の選曲構成、トークイベント、ライヴハウスのブッキング企画など多岐に渡って活動中。All About「アルゼンチン」ガイド。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』『喫茶ロック』最新の著書は『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)。

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記録的な猛暑だった2013年の夏。
きっと例年以上に、ボサノヴァの涼しげなメロディやサウンドが必要だったはず。

前回ご紹介した通りアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲群は永遠のマスターピースですが、もう一歩踏み込んだ「応用編」ということで、あまり知られていない楽曲や意外な共演などを集めてみました。

これだけ集めてみると、ジョビンはボサノヴァを作り育ててきただけでなく、ブラジル音楽全体の発展にも大きな役回りを果たしたんだなあと感じます。いわゆるスタンダードな名曲だけでなく、こういうちょっと一捻りある世界もジョビンの魅力といえるでしょう。

ルイス・ボンファジョアン・ジルベルトアントニオ・カルロス・ジョビン

「海の歌 / Cançao Do Mar」

ルイス・ボンファジョアン・ジルベルト、そしてジョビンが交互に歌うのが、ボンファ作の「海の歌」。これは、イタリア映画『Copacabana Beach』(1962年・日本未公開)でのワン・シーンで、3者が揃って演奏するという意味でも非常に貴重です。内容はおそらくリオのビーチでの恋物語だと想像できるのですが、そんな他愛のない映画に彼らが出演していることも驚き。なお、この映画には「ソ・ダンソ・サンバ」を演奏するシーンも登場するとのこと。



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アントニオ・カルロス・ジョビンバンダ・ノヴァ

「サーフボード / Surfboard」

リオ・デ・ジャネイロの浜辺が似合うボサノヴァは、やはりジョビンが本当に海好きだったことも大きいでしょう。実際若い頃はサーフィンをしたり、女の子をナンパしたりしていたはずです。この曲はいわゆる王道のボサノヴァとは違い、不穏なコード進行やシンコペイトするリズム、そしてスキャットが奏でるクラシカルなメロディと、どこで切り取ってもジョビンの中では異色作であり実験作。それでいて夏の雰囲気が味わえるという見事な傑作です。



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アントニオ・カルロス・ジョビンヴィニシウス・ヂ・モライス

「オ・プラナルト・デゼルト / O Planalto Deserto」

ジョビンの楽曲には、ドビュッシーラヴェルといったフランス印象派の作曲家からの影響が色濃いといわれています。そんなルーツを少し感じられるのが、1960年に制作されたクラシカルな大作アルバム『Brasilia』。一番最初に収められている「O Planalto Deserto」は、ヴィニシウス・ヂ・モライスの声や鳥のさえずりなどを加えた一大叙事詩に仕上がっています。“ジョビン=ボサノヴァ”という図式にとらわれず楽しんでもらいたいアルバムです。



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アントニオ・カルロス・ジョビンジョー・ヘンダーソンパット・メセニーチャーリー・ヘイデンアル・フォスター

「デサフィナード / Desafinado」

ジョビンとジャズの関係といえば、やはり今年50周年を迎えたスタン・ゲッツのアルバム『ゲッツ/ジルベルト』における役割を思いまだしますが、それ以降もジャズ・シーンとはつかず離れずのお付き合いがあったようです。そのなかでも、1994年にカーネギーホールで行われたヴァーヴ・レコード50周年記念コンサートは圧巻です。これだけのメンバーをバックにマイペースでピアノを弾きながら歌う姿はさすがです。



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ドリヴァル・カイミアントニオ・カルロス・ジョビン

「サウダーヂ・ダ・バイーア / Saudades Da Bahia」

ジョビンはリオ・デ・ジャネイロ育ちであり、ブラジルの他のエリアのイメージはあまりありません。とくに土着的な薫りが強いサルヴァドールやレシーフェといった北部には縁遠く感じられるでしょう。しかし、実際はかなり研究していたようで、その成果が見られるのが、バイーア地方を代表するソングライターのドリヴァル・カイミとの共演作。数々のカヴァーも多い名曲ですが、2人の繊細な部分が上手く混じり合った名演です。



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クアルテート004アントニオ・カルロス・ジョビン

「波 / Vou Te Contar」

ブラジルのコーラス・グループといえば、女性4人のクアルテート・エン・シーが有名ですが、その男性版といってもいいクアルテート004。かなりコアなブラジル音楽ファンにしか知られていない存在ですが、その活躍ぶりは侮れません。シコ・ブアルキやジョビンと共演した1968年のライヴ・アルバム『Retrato Em Branco E Preto』にもしっかりと名曲「波」が収められ、ジョビンがアレンジや演奏に加わっているという貴重なヴァージョンです。

エドゥ・ロボアントニオ・カルロス・ジョビン

「ルイーザ / Luiza」

セルジオ・メンデスのプロデュースで一躍米国でも人気を得たエドゥ・ロボも、ジョビンと同様にブラジル音楽を世界に広めたひとりといってもいいでしょう。そんなふたりの本格的な共演盤は、1981年になってから。『Edu & Tom』は、80年代以降のボサノヴァの傑作盤として歴史に残ります。この「Luiza」はジョビンのバラード曲としては屈指の名曲。ボサノヴァというよりも、ブラジル音楽の美しさを抽出したようなメロディが光ります。



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アンディ・ウィリアムスアントニオ・カルロス・ジョビン

Andy Williams / Antonio Carlos Jobim「The Girl From Ipanema」

ジョビンとフランク・シナトラの共演は非常に有名ですが、アンディ・ウィリアムスとの共演も実現していたことはあまり知られていないかもしれません。もちろん、アルバムのレコーディングまでには至りませんでしたが、テレビの「アンディ・ウィリアムス・ショー」にジョビンはゲスト出演し、ボサノヴァ・メドレーを披露しています。こういうシンガーが歌うジョビンのメロディもなかなかのもので、彼の書く曲がスタンダードであることの証拠といえます。



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クアルテート・ジョビン/モレレンバウム

Quarteto Jobim / Morelenbaum 「O Bôto」

ジョビンは晩年に向かって成熟していくとともに、“脱ボサノヴァ”的なスタイルを取るようになります。その中でも究極のアルバムといえるのが、1976年の『Urubu』でしょう。お馴染みクラウス・オガーマンによるストリングスもありつつも、どこかクラシカルで自然賛歌を歌ったスピリチュアルな内容が特徴です。ビリンバウの音色で始まる「オ・ボト」が人気ですが、この映像ではチェロのジャキス・モレレンバウムがその役割をしているのが見どころ。



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モレレンバウム2/坂本龍一

Morelenbaum2 / Sakamoto「Amor Em Paz」

ジョビンを敬愛するミュージシャンは数え切れないくらいいますが、日本を代表する作曲家でありピアニストでもある坂本龍一もそのひとり。2001年にジョビンが愛用していたピアノを使い、晩年までジョビンを支えたミュージシャンの筆頭でもあるパウラジャキス・モレレンバウム夫妻とともに、ジョビンの名曲を室内楽的なアレンジでアルバム『Casa』をレコーディングしました。数あるジョビンのカヴァー集の中でも、ホンモノを感じる一枚です。



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