読むナビDJ :第93回:追悼・名ドラマー、青山純の名演16選+2

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第93回:追悼・名ドラマー、青山純の名演16選+2

1980年代から現在まで、日本の音楽界のボトムを支えた重要な1人のドラマーの追悼特集です。

この記事の筆者

音楽評論家。ミュージック・ペンクラブ・ジャパン会員。ミュージック・マガジン誌、レコード・コレクターズ誌、ギター・マガジン誌などの音楽誌に定期的に寄稿。『木田高介アンソロジー~どこへ』『THE FINAL TAPES はちみつぱいLIVE BOX 1972-1974』『ベルウッド40周年 三浦光紀の仕事』などのCDの解説、共著など多数あり。

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2013年12月3日に、日本屈指のドラマー青山純がこの世を去った。彼が参加したアルバム/セッションは、それこそ星の数ほどある。何らかの形で、青山純のドラミングを聞いたことのない人は、日本にいないのではないかと思うほどだ。数多くのミュージシャンをサポートし、70年代後半から現在までのJ-POPのサウンドを築き上げたひとりである。

その中で最も有名なのは、ベーシストの伊藤広規とリズム・コンビネーションの力を発揮した山下達郎のレコーディング/ツアーへの参加だ。繊細でそれでいて躍動感に溢れ、さまざまな面で山達の音楽をがっしりと支えた。
竹内まりや松任谷由実から近藤真彦おニャン子クラブまで、そのレコーディング・セッションは膨大で計り知れない。中島みゆき甲斐よしひろハイ・ファイ・セット徳永英明MISIA今井美樹などのツアー・メンバーとしても大活躍した。
それだけではなく、若くしてザ・スクェア、そしてプリズムとフュージョン系の名門バンドに在籍した。さらには、仙波清彦率いるはにわオールスターズや、板倉文キリング・タイムなど、革新的であり実験的になユニットにも参加している。他にも、山下達郎のバッキング・メンバーで構成されたネルソン・スーパー・プロジェクトや、MAC清水EBBY村田陽一らとのMAMBABOOでも活躍した。

まさしく“頼れるドラマー”の代名詞であったと思う。享年56歳。あまりにも残念すぎる、若すぎる死という言葉しか浮かんで来ない。数あるセッションから、その名演を選んで追悼させていただきます。


マリ&レッド・ストライプス

「思い出の渦」

青山純は、高校時代にヤマハのドラム・スクールに通い、卒業後はプロとして活動を開始する。その最初の大きな仕事が、兄の友人でもあった杉真理のバンドのレコーディングに参加することだった。「思い出の渦」は、MARI & REDSTRIPSのデビュー・アルバムにも収録され、シングルにもなった曲。青山の若いながらも安定感のあるドラミングを聞いていただきたい。




Mari&Red Stripes
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THE SQUARE

「トゥモロー(Tomorrow's Affair)」

青山純は23歳で、THE SQUARE(現在のT-SQUARE)に加入する。在籍期間こそ短かったものの、伊東たけし久米大作安藤まさひろといった凄腕ミュージシャンと共演したことは大きな収穫であったはずだ。80年にリリースされた『Rockoon』に参加。ピアノの久米のイントロダクションに始まるが、その後の青山の骨太なフィルインが聞きどころだ。




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PRISM

「BACK STREET JIVE」

80年ごろにギタリストの和田アキラが率いていたPRISMに加入することとなる。当時のPRISMは、和田(G)、渡辺建(B)、青山純(Ds)、佐山雅弘(Key)という4ピースの布陣で、鉄壁のコンビネーションを誇っていた。「BACK STREET JIVE」はその数少ないライヴ映像で、青山の溌剌としたプレイが堪能できる。




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須藤薫

「FOOLISH (渚のポストマン)」

青山純がセッション・ドラマーとして精力的な活動を始めた頃の作品。須藤薫の80年のデビュー・アルバム『CHEF'S SPECIAL』に、後藤次利松原正樹松任谷正隆らと共に参加した。オールディーズを基調としたアレンジメントだが、青山純のキレのいいハイ・ハット・ワークが素晴らしい。実に表情があり曲のニュアンスを豊かにしている。




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山下達郎

「MY SUGAR BABE(インスト・ヴァージョン)」

青山は79年に山下達郎と出会い、ベーシストの伊藤広規とのリズム・セクションを組んで山下を支えることとなる。「MY SUGAR BABE」は、80年の名作『RIDE ON TIME』に収められていた曲。ここでは、勝新太郎が監督・主演したTVドラマ「警視-K」のために作られたインストゥルメンタル・ヴァージョンでお聞きいただく。インストで聞くと青山のドラミングの秘密がよく分るかと思う。




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山下達郎

「クリスマス・イブ」

山下達郎の中でも定番中の定番、いや、日本のスタンダードだと言ってもいい超のつく名曲だ。この曲での青山純のドラミングをじっくりと聞いていただきたい。感情を抑えながらステディに進行していく前半、そして後半は少しづつ心情を露わにしていく。スネアの一撃だけでも、これだけのニュアンスがあるのだ。“歌心のドラマー”青山純がいたからこそ完成した名曲である。




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国分友里恵

「スノッブな夜へ」

後に国分友里恵と青山は、山下達郎竹内まりやのバッキングを経て、そのバック・メンバーで構成されたネルソン・スーパー・プロジェクトでも共演することとなるのだが、これはその国分の83年のデビュー・アルバムに収められていた曲。AOR色が明確に出た曲であり、ダイナミックなドラミングはまさに青山純だ。




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はにわちゃん

「かなしばり」

80年代の半ばから青山は、ザ・スクェアで共演した仙波清彦が率いる、はにわちゃんオレカマ軍団はにわオールスターズなどに参加するようになる。仙波は、邦楽囃子仙波流の家元の長男でもあり、和楽器とロックやジャズとが結合したユニークなユニットを数多く作った。はにわちゃんには、仙波の他に、久米大作れいち柴崎ゆかりなどが参加、変拍子やら奇妙なメロディやらの中を青山のドラムが疾走していく。




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キリング・タイム

「Skip」

チャクラのギタリストであった板倉文を中心に、キーボードのMa*To清水一登らが参加したキリング・タイムは、実験性の強いグループであった。青山純は最初ゲストであったが、その後レギュラー・メンバーとなる。「Skip」は87年の同名のアルバムからの曲で、ここでは仙波清彦と青山とのツイン・ドラムの構成。ミニマルで摩訶不思議なリズムが炸裂している。




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TM NETWORK

「Resistance」

88年にリリースされた『humansystem』に収められている曲で、シングル・カットもされている。小室哲哉宇都宮隆木根尚登によるTM NETWORKといえば、打ち込み色が強いのだが、そこに青山純のフィジカルなドラムが必要であったのだ。スネアの一撃が強靭で、まるでドラムによってリーディングされているように聞こえる。




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今井美樹

「Boogie-Woogie Lonesome High-Heel」

2001年の8月に品川グロリア・チャペルで行われたライブでの映像。青山純の他に、ギタリストの今剛、キーボードの倉田信雄、ベーシストのクマ原田らが参加している。青山のフィルで曲がスタートしていくが、スティックのひと振りで曲の表情を決定してしまうのは流石。その豊かなリズムに乗って、今井美樹も気持ちよさそうに歌っている。




One Night at the Chapel
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B'z

「MOTEL」

B'zの15作目のシングルで、94年の11月にリリースされた。ハモンド・オルガンの増田隆宣、ピアノの小野塚晃、ベースの明石昌夫らとともに青山が参加している。アレンジはベースの明石で、前半は松本孝弘が弾くリゾネータ・ギターで先導されていく。青山純は、テンポ・チェンジのフィルインで猛然と存在感を発揮している。このような見せ場を作るのがうまいドラマーだ。




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近藤房之助

「Depressing Night」

近藤房之助の94年のアルバム『A LOW DOWN DIRTY SHAME』は意欲的な作品であり、ヴォーカルとギターの近藤房之助、ベースの川端民生、ハーモニカの八木のぶお、それに青山純の4人が真正面からぶつかり合った作品に仕上がっている。従来のブルースよりもハードコアで、まるで4人が掴み合いの格闘技をしているように聞こえる。いつになくアグレッシヴな青山のドラミングに着目。




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竹内まりや

「不思議なピーチパイ~September」

2000年7月に日本武道館で行われた、竹内まりやの18年ぶりコンサートから。このライヴには佐橋佳幸重実徹国分友里恵伊藤広規、青山純、それに山下達郎と、達郎バンドのレギュラー陣が勢揃いした。そのサウンドは極上と言うしかない。安定したボトムの響き、そしてポップに跳ねるスネアのサウンドなど、青山ならではのドラミングが光っている。




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佐藤博 with High Times

「Joint」

ハイ・タイムスは、佐藤博が77年に組んだグループであり、2000年のこのライヴは彼らの再結成(リユニオン)となるものだ。メンバーは、鳥山雄司、青山純、伊藤広規ペッカーと当時と同じであった。「Joint」は佐藤の77年のアルバム『TIME』の収録曲。かなり複雑な曲なのだが、青山の豪快なグルーヴ感を存分に味わうことが出来る。




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MISIA

「BELIEVE」

青山純は近年ずっとMISIAのツアーに参加していた。9月にも、沖縄のコンベンション・センター劇場棟で開催されたライヴに参加したばかりだ。この映像は、<星空のライヴⅣ CLASSICS>の一環として長崎で収録されたもの。夕暮れの空に向かって、青山のドラムが響き渡っていく。
MISIAは自身のブログで、青山純への訣れの言葉を綴っている。
→「青山純さん 我らがアレックス へ




星空のライヴIV CLASSICS
+Film of MISIA in KIBERA SLUM
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「青山純 一つ打ちの真髄」

番外編として、この映像を。青山ドラミングの秘密を探るべく出された教則DVDから。単なる教則だけではなく演奏シーンも収録されていて、松下誠伊藤広規MAC清水らが参加。青山純のプレイを間近に見られる必見のDVDだ。もちろん他にも学ぶところは多い。




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「青山純SUPER SESSIONSのリハーサルに潜入してきた」

青山純が、今剛伊藤広規KAZ南沢エルトン永田MAC清水と組んだSUPER SESSIONSのライヴをドキュメントした映像集から。めったに見ることも出来ないリハーサル・シーンが目玉だ。青山の背後に回りこんで、そのドラミングを撮ったり、贅沢極まりない。そのパワフルな姿が克明に記録されている。




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