読むナビDJ :第98回:ダフト・パンクだけじゃない!フレンチ・エレクトロ定番特集

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第98回:ダフト・パンクだけじゃない!フレンチ・エレクトロ定番特集

第56回グラミー賞でナイル・ロジャース、スティーヴィー・ワンダー参加の「Get Lucky!」を観て「この感じ、他にいないのぉ?」と思った人にお届けします!

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音楽&旅ライター。レコード会社勤務の傍らDJ、執筆、「喫茶ロック」企画などで活動。退社後、2年間に渡って中南米を放浪し祭りと音楽を堪能。帰国後は「ラティーナ」誌でのアルゼンチン音楽連載をはじめ、ラテン、ワールドミュージック、和モノから、旅行記や世界遺産にいたるまで幅広いジャンルで、雑誌、ウェブ、ライナーノーツの執筆、ラジオや機内放送の選曲構成、トークイベント、ライヴハウスのブッキング企画など多岐に渡って活動中。All About「アルゼンチン」ガイド。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』『喫茶ロック』最新の著書は『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)。

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先頃発表された第56回グラミー賞で、最も注目を集めたのがダフト・パンクでした。主要2部門を含めノミネートされた5部門すべて受賞しただけでなく、ファレル・ウィリアムスナイル・ロジャーススティーヴィー・ワンダーまでが参加したパフォーマンスにも圧倒されました。

しかし、僕らが忘れてはいけないのは、そもそもダフト・パンクはフレンチ・エレクトロの先鋭として登場したこと。最新作『ランダム・アクセス・メモリーズ』における生音指向の彼らももちろん素晴らしいけれど、彼ら原点も、もう一度見直す時期なのではと思ったりするのです。

本来フランスは、こういったシンセサイザーを多用したエレクトロ・サウンドが盛んなお国柄。その昔は、映画音楽作家のミシェル・マーニュフランソワ・ド・ルーベといった人たちが実験的なサウンドを持ち込み、“フランスの冨田勲”ことジャン・ミッシェル・ジャールのようなスターが現れ、リオリジー・メルシエ・デクルーアンテナミカドといったテクノ・ポップ~ニューウェイヴ系のアーティストも日本で注目されました。その裏では、テクノやハウスなどのDJ文化もふつふつと熟成されていったのです。

このような歴史を踏まえて登場し、シーンに一石を投じたのがダフト・パンクでした。フィルター・ヴォイスを駆使したハウス・サウンドは、当時フレンチ・タッチなどと呼ばれて注目を浴び、その流れでエールタヒチ80フェニックスジャスティスといったユニットやバンドが続々とフランス国外でもブレイクしていきます。ステファン・ポンポニャックのようなラウンジ・テイストの強いフレンチ・ハウスや、デヴィッド・ゲッタに代表されるEDM系を含めると、フランス勢の躍進はご存じの通り。

こうして、フランスのロックやクラブ・ミュージックのベースとなったフレンチ・エレクトロ。今だからこそ、ダフト・パンク登場前後の定番エレクトロ・アンセムを、あらためて聴いてみてはいかがでしょうか。

Daft Punk「One More Time」

トーマ・バンガルテルギ=マニュエル・ド・オメン=クリストによって結成されたダフト・パンクは、1994年にデビュー。ファースト・アルバム『Homework』(1997年)で一気にブレイクしました。日本でお茶の間にまで浸透したのは、2001年に発表したセカンド・アルバム『Discovery』からカットされたシングル「One More Time」がCMなどで使用されてから。松本零士が手がけたヴィデオ・クリップも含め、今なお色褪せない名曲です。




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Air「Sexy Boy」

ダフト・パンクの後を追うようにして現れたのが、同じく2人組のエールニコラ・ゴダンジャン=ブノワ・ダンケルによるユニットで、95年にデビュー。彼らの場合は、エレクトロというよりはラウンジやチル・アウトという印象が強いですが、同じフランス出身ということで良く比較されました。映画『ヴァージン・スーサイズ』(2000年)のサントラもいいですが、やはりデビュー・アルバム『Moon Safari』(1998年)こそ彼らの原点といえる傑作。




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Sébastien Tellier「Divine」

エールのUSツアーでサポートを務め、一躍評価を高めたアーティストがセバスチャン・テリエ。2001年にアルバム『L'incroyable Vérité』でデビューして以来、ユニークな作風でポップな世界を作り出してきました。3作目の『Sexuality』(2008年)は、ダフト・パンクのギ=マニュエル・ド・オメン=クリストがプロデュース。シングル・カットされたこの曲はユーロビジョン・ソング・コンテストに出品され、各国でチャート・インしました。




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Cassius「Toop Toop」

カシアスはフランスのクラブ・シーンからポップ・フィールドにのし上がってきたグループのひとつ。フィリップ・ゼダールブーム・ベースという二人の歴史は長く、1988年には一緒にプロデュース活動を始め、フレンチ・ラップの草分けであるMCソラーのサウンドに貢献したことで評価を得ました。なお、この「Toop Toop」を含むサード・アルバム『15 Again』(2006年)には、今をときめくファレル・ウィリアムスも参加しています。




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Justice「D.A.N.C.E」

2人組つながりということでいえば、ジャスティスこそダフト・パンクに次ぐ成功を収めたアーティストかもしれません。ギャスパール・オジェグザヴィエ・ドゥ・ロズネは、2003年から活動を開始。インディー・ロック的なイメージも、他のエレクトロ周辺のアーティストとは一線を画しています。ファースト・アルバム『†(クロス)』(2007年)収録のこのレトロ風味の楽曲は、マイケル・ジャクソンへのオマージュということで話題になりました。




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Breakbot「Baby I'm Yours (feat. Irfane)」

ブレイクボットは、DJやプロデューサーとしても活躍するティボー・ベルランのソロ・プロジェクト。2005年頃から活動を始め、MGMTロイクソップなど多数のリミックス仕事で名を上げました。2009年からはジャスティスも輩出したエド・バンガー・レコーズに所属します。彼の特色は、70年代のディスコ・テイストで非常にキャッチーなところ。ダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』にハマった方なら絶対に気に入るはず。




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SebastiAn「Embody」

ブレイクボットと同じく、エド・バンガー・レコーズの看板アーティストがセバスチャン。2005年にダフト・パンクの「Human After All」のリミックスを手がけて売れっ子になりました。彼はもう少しディープなクラブ・シーンと関わり、ハウスをベースにしたダークなサウンドを構築しています。この「Embody」を先行シングルとし、満を持して発表されたアルバム『Total』(2011年)には、M.I.A.メイヤー・ホーソーンなども参加した豪華作。




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Yuksek「Tonight」

ユクセックも、クラブ・シーンから注目を浴びたクリエイターのひとり。もともとはエレクトロ・ロックのバンドでベースを弾いていましたが、ミーカタヒチ80などのリミックス仕事でもめきめきと頭角を現し、日本のギタリスト、雅-MIYAVI-ともコラボレーションを行いました。2009年発表のファースト・アルバム『Away From The Sea』に収録されているこの曲も硬派なエレクトロ・ハウスながら、フランスらしい優雅な雰囲気が漂います。




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Yelle「Je Veux Te Voir」

新世代のフレンチ・ポップ・アーティストといってもいいのがイェール。2005年に発表された「Je Veux Te Voir」はMySpaceで世界的に注目を集め、フランスでもトップ5に入るほどの再生回数を誇りました。その勢いで2007年にアルバム『Pop Up』でデビューを果たします。基本的には女の子ならではの華やかなエレクトロ・ポップなのですが、ザ・ティン・ティンズ等にも通じるロック・テイストもふんだんに取り入れているのがポイント。




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C2C「Down The Road」

ヒップ・ホップとの接点から生まれた新世代エレクトロ・ポップのグループがC2C。もともとは1998年に結成された4人組のターンテーブリスト・クルーですが、初音源は2012年に発表したこの曲。ビートの構築方法はたしかにヒップ・ホップではありますが、素材やアレンジのセンスはフレンチ・エレクトロのニュアンスが濃厚です。なお、メンバーの20sylグリームホーカス・ポーカスというヒップ・ホップ・バンドにも在籍しています。




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コラムスピン 第87回:
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日本時間2014年1月27日にロサンゼルス・ステイプルズセンターで開催された第56回グラミー賞の主な受賞作とパフォーマンスについての最速レポートです。

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