読むナビDJ :第162回:ネオ・シティ・ポップ2015 パート2

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第162回:ネオ・シティ・ポップ2015 パート2

現役高校生のシンリズム、大学生のブルー・ペパーズなど20歳前後を含む特集第2弾。それぞれ他のミュージシャンとのコラボや共演にも積極的で、ムーブメントとしての広がりを感じます。

この記事の筆者

音楽&旅ライター。レコード会社勤務の傍らDJ、執筆、「喫茶ロック」企画などで活動。退社後、2年間に渡って中南米を放浪し祭りと音楽を堪能。帰国後は「ラティーナ」誌でのアルゼンチン音楽連載をはじめ、ラテン、ワールドミュージック、和モノから、旅行記や世界遺産にいたるまで幅広いジャンルで、雑誌、ウェブ、ライナーノーツの執筆、ラジオや機内放送の選曲構成、トークイベント、ライヴハウスのブッキング企画など多岐に渡って活動中。All About「アルゼンチン」ガイド。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』『喫茶ロック』最新の著書は『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)。

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前回の「ネオ・シティ・ポップ2015 パート1」に引き続き、新世代のシティ・ポップ特集第二弾です。

2010年代のシティ・ポップが、70年代や80年代と違うのは、音楽的な語彙がさらに増えているということ。シティ・ポップという言葉が現れ始めた時期は、ソウル、ディスコ、AOR、フュージョン、ボサノヴァといった当時の洋楽を、いかに日本のポップスに取り入れるかが課題でした。しかし、現代のシティ・ポップは、そういったものはもちろん、さらに新しいハウス、ヒップホップ、オルタナティヴなロックまで含まれますし、なによりも先達が作り上げたシティ・ポップを参考にしながら、今の時代に合った音楽へとアップデートすることができるわけです。いい楽曲が生まれるのは当然といってもいいでしょう。

そんな今のムーヴメントの中から、今年リリースされた楽曲だけを選んだこの特集。前回も大反響でしたが、今回もさらに強力!なかには現役の高校生や大学生もいて、シティ・ポップがオヤジの懐古趣味だけではないことが十分理解できるはずです。ぜひ新しいシティ・ポップの世界に浸ってみてください。

tofubeats

「すてきなメゾン feat. 玉城ティナ」


今や飛ぶ鳥を落とす勢いの売れっ子サウンド・クリエイターといえば、なんといってもtofubeatsではないでしょうか。DTMで作った楽曲をウェブで発表し、SNSで評判を集めるというスタイルは、まさに時代の申し子。2012年に発表したシングル「水星」が大きな話題になりましたが、今年発表したアルバム『POSITIVE』も名曲揃い。玉城ティナの低めの歌声をフィーチャーしたキラキラしたポップ・チューンは、竹内まりやの名曲群を彷彿とさせます。



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星野みちる

「坂道の途中」


AKB48なんていう肩書きはもういらないのでは?というくらい、ポップス・ファンに認知を得ているシンガー・ソングライター、星野みちる小西康陽がプロデュースしたはっぴいえんどへのオマージュのような「夏なんだし」でも大きな話題になりました。3作目となるアルバム『YOU LOVE ME』に収録されたこの曲は、元ピチカート・ファイヴ高浪慶太郎が作曲し、microstar佐藤清喜がアレンジを手がけた和製ウォール・オブ・サウンドの名曲です。



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ウワノソラ'67

「シェリーに首ったけ」


ウォール・オブ・サウンドつながりということで選んだのですが、この曲は本当に名曲だと思います。ウワノソラ!67は、2012年に結成されたウワノソラという3人組のグループのうち、2人で組んだスピンオフ的なユニット。本体もソウルフルなグルーヴのポップスでいいのですが、こちらのオールディーズ風情も見事。大滝詠一がプロデュースしたシリア・ポールを思い起こさせるようなドリーミー・ポップに、胸をキュンとさせられます。

Lucky Tapes

「Touch!」


シティ・ポップにはある程度のグルーヴ感が求められていると思うのですが、ソウルフルな味わいを前面に出しているのが4人組のLucky Tapesです。アルバム・リリース前から各所で話題になり、この英語詞曲のシングル「Touch!」で2015年にデビュー。ジャミロクワイを思わせるファンキーでスタイリッシュなサウンドが特徴で、シティ・ポップというには本格的すぎるかもしれません。日本語詞の曲も増えてきているので、そちらにも期待。



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1983

「Bolero」


アーバンな雰囲気のソウル・グルーヴを奏でるバンドが続々と登場していますが、1983もそのひとつ。全員が80年代生まれということですが、まるで70年代のバンドのようなメロウで少しだけアーシーなサウンドを聴かせてくれます。メンバーにトランペットやフルートといった管楽器が入っているのもユニーク。2015年発表のデビュー・アルバム『SUITE』には、ニューオーリンズ風やソフトなラテン・タッチのナンバーなどもあり、大きな可能性を感じられます。



1983

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シンリズム

「superfine」


インターネット上で話題になり、あっという間にデビューを飾ったシンリズム。凝りに凝ったメロディやコード進行、そして冨田ラボを思い起こさせるようなきらびやかなアレンジに圧倒されましたが、何よりも現役高校生のソロ・プロジェクトだということには誰もが驚かされたはず。本格的なデビューとなったファースト・アルバム『NEW RHYTHM』には、ソフトロックやメロウ・ソウルを感じさせる美メロがたっぷりで、その才能に舌を巻くこと必至。



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ブルー・ペパーズ

「6月の夢」


ブルーペパーズは現役の大学生2人によるポップス・ユニットで、彼らもまたインターネットで話題になりました。その若さにも関わらず70~80年代のAORやソウルに精通しているらしく、彼らが作るサウンドも王道のシティ・ポップ。まだ『ブルー・ペパーズEP』という6曲入りの作品を発表しただけなので、可能性は未知数。とはいえ佐々木詩織のヴォーカルをフィーチャーしたこの曲の完成度からは、キリンジがデビューした頃のことをふと思い出させてくれます。



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never young beach

「あまり行かない喫茶店で」


ここ最近のシティ・ポップ勢のなかで、never young beachはちょっと異色かもしれません。はっぴいえんどセンチメンタル・シティ・ロマンスを思わせるアメリカン・ロック的なアーシーな感覚が新鮮で、デビュー当時のサニーデイ・サービスにも通じるバンドです。2014年に結成され、2015年に初のフル・アルバム『YASHINOKI HOUSE』を発表。昭和なテイストと、どこかローカル感を漂わせた雰囲気が独特で、親しみやすいはず。



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Suchmos

「GIRL feat. 呂布」


様々なジャンルをミックスしているのが新しいシティ・ポップの特徴ですが、Suchmosもソウル、ファンク、ヒップホップ、ジャズなどの垣根を超えたミクスチャー・バンドです。横浜出身で全員がスケーターだというストリート感も、新世代ならではの特徴。デビュー・アルバム『THE BAY』ではそんな彼らのソリッドかつメロウなサウンドが満載。ラッパーの呂布をフィーチャーしたアーバン・ファンクのこの曲は、ceroにも通じるクールネスで魅了させてくれます。



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SANABAGUN

「人間」


ストリート感ということにおいては、SANABAGUNはまさにストリート出身のバンド。8人組の大所帯で、ヴォーカルとラップが絡み合う曲調で人気を呼び、2015年にメジャー・デビューを果たしました。この曲のように、サウンドはクールでかっこいいのにも関わらず、どこかユーモアに満ちたリリックで人を煙に巻く感覚が個性的。ジャンルとしてはヒップホップかもしれませんが、スペクトラムからスガシカオへとつながる和製ファンクの延長線上といいたくなります。



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■関連コラム

読むナビDJ 第160回:ネオ・シティ・ポップ2015 パート1
Drillspin column

1曲目からいきなりイイ感じ!解説の中にもありますが、キリンジや冨田ラボが撒いた種が花開き始めたこの頃の新しいシティ・ポップを2回に分けてお届けします。

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