読むナビDJ :第163回:最新北欧エレクトロ・ポップ10選

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第163回:最新北欧エレクトロ・ポップ10選

スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドを拠点とするエレクトロ・ポップのユニット/バンド/ソロを厳選。EDMよりも音数が涼しげで冬に合うサウンドです!

この記事の筆者

音楽&旅ライター。レコード会社勤務の傍らDJ、執筆、「喫茶ロック」企画などで活動。退社後、2年間に渡って中南米を放浪し祭りと音楽を堪能。帰国後は「ラティーナ」誌でのアルゼンチン音楽連載をはじめ、ラテン、ワールドミュージック、和モノから、旅行記や世界遺産にいたるまで幅広いジャンルで、雑誌、ウェブ、ライナーノーツの執筆、ラジオや機内放送の選曲構成、トークイベント、ライヴハウスのブッキング企画など多岐に渡って活動中。All About「アルゼンチン」ガイド。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』『喫茶ロック』最新の著書は『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)。

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エレクトロ、エレ・ポップ、シンセ・ポップ、etc。いろいろと呼び方はありますが、最近の傾向として、どこか懐かしいシンセ・サウンドを取り入れたロックやポップスが増殖している印象があります。USやUKでもその傾向は高まっていますし、以前特集したフレンチ・エレクトロもその流れのひとつではありますが、なかでもスウェーデンを中心とした北欧から出てくるアーティストは、なぜかキラキラとしたシンセサイザーをフィーチャーしたエレクトロなサウンドが多いのです。

たしかに北欧というと、アバのようなきらびやかなサウンドに包まれたポップスも多いですし、昨今のエレクトロな感覚も今に始まったことではありません。ただ、インディ・シーンで注目されるクリエイターが、こぞってエレクトロなエッセンスを取り入れているのが興味深いなと思うのです。けっして大きなムーヴメントになっているわけでもなく、目立った大ヒットを記録しているわけでもないのですが、なんとなくもぞもぞと蠢いている感のある北欧エレクトロ・ポップ。2015年に発表された楽曲のみをセレクトしましたので、ちょっとした青田買い気分でお楽しみください。

Kate Boy

「Midnight Sun」


北欧の中でも、スウェーデンはエレクトロ・ポップ先進国といっていいくらいの充実ぶり。昨年はザ・ロイヤル・コンセプトが日本でも話題になりましたが、今年の目玉のひとつがこのケイト・ボーイ。女性ヴォーカルと男性2人によるトリオで、2012年にEPを発表して以来精力的に活動していましたが、2015年に満を持してファースト・アルバム『One』をリリース。エモーショナルな歌声と、少しダークなシンセ・サウンドとの対比がユニークです。



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Moonbabies

「Pink Heart Mother」


スウェーデン第二の都市マルメで結成された男女デュオのムーンベイビーズは、1997年結成なのでいわば中堅的存在です。ただ、以前はシューゲイザーをやっていたということなので、エレクトロ・ポップへと音楽性を転換していったの最近のこと。7年ぶりとなったアルバム『Wizards On The Beach』には、アコースティック楽器を効果的に使った空間的な広がりのあるサウンドと、男女の絶妙に切り替えるヴォーカルで、極上のメロディを奏でてくれます。



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Club 8

「Skin」


こちらも、結成して20年を数えるスウェーデンの老舗エレクトロ・ポップ・グループ、クラブ・エイト。男女デュオの編成で、元々はネオアコ風のサウンドが特徴でした。彼らのように、違うジャンルだったグループがエレクトロ色を出しているというのが、昨今の北欧音楽シーンの流れなのかもしれません。新作『Pleasure』では、お得意のチルアウト的なナンバーから、ハウス・ビートを取り入れたダンサブルな楽曲まで様々ですが、ひんやりとしたシンセの音色が印象に残ります。



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Sans Parade

「Hyperborea」


スウェーデン&フィンランドの混成で、ヘルシンキを拠点にしているサンズ・パレード。彼らの音楽は、シンセサイザーはもちろんなのですがヴァイオリンのような弦楽器なども取り入れているので、どこかオーケストラル・ポップとでもいうべきスケール感が見事。親しみやすいメロディの半面、現代音楽の要素を取り入れるなど実験的な一面もユニークです。最新アルバム『Artefacts』では、70年代ロック的なけだるい空気感も魅力のひとつ。



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Jaakko Eino Kalevi

「Deeper Shadows」


フィンランドからワールド・デビューを果たすシンガー・ソングライターのヤーコ・エイノ・カレヴィ。ちょっと面長の風貌が特徴の彼は、トラムという路面電車の運転手をしているという異色の経歴の持ち主。ディスコやファンクを取り入れたサイケデリックなポップ・サウンドがポイントですが、ファースト・アルバム『Jaakko Eino Kalevi』全編に振りかけられたプログラミングの音色が、彼のアンニュイなヴォーカルを際立たせていています。



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Phantom

「Over」


フィンランドのヘルシンキを拠点に活動する男女デュオ、ファントムも注目したいアーティストの一組。2012年から活動を開始し、2013年にはエリック・サティの楽曲をモチーフとした「Kisses」で話題を呼びました。アンビエントやチルアウトの要素を盛り込んだ静謐なエレクトロニクスと、富裕感あふれる女性ヴォーカルとの調和によって独自の美学を作り上げています。2016年には初のアルバムも予定されているというから、楽しみに待ちたいところです。



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Kid Astray

「Day In June」


ザ・ロイヤル・コンセプトのブレイクによって、シンセを巧妙に取り入れたロック・バンドが増えていますが、ノルウェーのキッド・アストレイもそのひとつ。2013年にEP『Easily Led Astray』でデビューした際には、全員10代ということもあって大きな話題となりました。そしてついに発表されたファースト・アルバム『Home Before The Dark』には、きらびやかなシンセに彩られたギター・ロック・チューンがたっぷり詰まっています。



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Apothek

「Family」


まだこのデビュー・シングル「Family」を発表したばかりというアポテック。ノルウェーのオスロを拠点とする男性二人組で、透明感に満ちたエレクトリック・サウンドと、内省的なヴォーカル・スタイルに思わず引き込まれます。すでに自国内だけでなく、ヨーロッパ・ツアーも行うほどライヴも精力的に行っている彼らですが、アルバムが出ていないのでまだまだ未知数の才能。今後の可能性に期待したいアーティストです。



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Rangleklods

「Schoolgirls」


デンマークには、スカンジナビア半島に比べるとそれほど大きな音楽シーンがあるようには感じないのですが、こんなユニークなアーティストが存在します。ラングルクロッズは、2010年に結成された男女デュオのユニットで、2011年にEPでデビューし、今年リリースされたアルバム『Straitjacket』は2作目。深いエコーに包まれた退廃的なエレクトロ・サウンドや、日本のオタク文化を取り入れた映像など、なかなか一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出しています。



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Samaris

「Nótt (One For The Girls)」


最後に紹介したいのが、島国アイスランドのサマリス。2011年に結成された男性1人女性2人のユニットで、2013年に初のアルバム『Samaris』を発表しました。この曲が入ったアルバム『Silkidrangar Sessions』は、昨年発表した2作目の『Silkidrangar』のリワーク作。エレクトロニクスとアコースティック楽器をミックスしたスタジオ・ライヴに挑戦しています。深淵なサウンドと、ビョークを思わせる巫女系のヴォーカルに酔ってみてください。



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